尻別川に生きる人々の営み

尻別川流域の生活圏

尻別川は、その源流をフレ岳(伊達市大滝区)に発し、オロウィンシリベツ川、喜茂別川、ペーペナイ川、倶登山川、真狩川、昆布川などの支流を集めて蘭越町で海に注ぐ、流路総延長129km、流域面積1,640k㎡の一級河川です。流域の大半は後志支庁管内の南部に当たりますが、一部胆振支庁管内にもまたがり、流域内の市町村としては、本流の上流から伊達市(大滝区)の一部、喜茂別町、京極町、倶知安町、ニセコ町、蘭越町、そして真狩川の上中流にあたる留寿都村、真狩村、昆布川の上流に位置する豊浦町の一部、といった9市町村で構成されています。これらのうち、胆振支庁管内の伊達市と豊浦町を除く7町村が羊蹄山麓7町村で、面積は1,563.5k㎡、人口は37,447人(H17年国勢調査)となっており、流域の産業、経済の中心地倶知安町が人口の約43%を占めています。

尻別川流域の産業の中心は農業

流域は、北海道有数の農業地帯として発展してきた地域です。主要作物は、ジャガイモを中心に、水稲、小豆、ビート、アスパラガス、ゆり根などであり、この地域の代表的な農産物となっています。

流域の農業地域としての特性は、大きく3つに分けられます。ひとつは蘭越町を中心とした米作中心の地帯で、食味分析Aランクの「らんこし米」が代表的ブランドです。第二は羊蹄山南山麓に位置するニセコ町、真狩村、留寿都村、喜茂別町の畑作地帯で、ゆり根、アスパラ、ジャガイモが代表的なブランドです。そして羊蹄山北山麓の倶知安町、京極町のジャガイモ、ビートなどの畑作地帯の3つで、それぞれ地域特性に見合った農業が営まれています。(詳しくは52ページ参照)

尻別川水系の水の利用位置図 尻別川水系の水の利用位置図

尻別川の多様な水利用

尻別川は、多様な利用形態が同居している川です。本流だけでも農業用かんがい揚水施設が17箇所、水力発電施設が6箇所(北海道力、新王子製紙)あります。発電用の6つの取水堰には魚道が設置されており、サケも遡上しやすくなっています。また、冬期間の流雪溝用水のほか、内水面漁業の場として、あるいはアウトドアスポーツの場としてなど、様々に利用されています。(アウトドアスポーツ利用については、53ページ参照

流域では蘭越町のみが日本海に面しており漁業を営んでいますが、内水面漁業は、河口から昆布ダム上流端までの間に内水面漁業権が設定され、中・下流域ではヤツメウナギやモズクガニ、中流域ではアユが中心の漁となっています。ヤツメウナギは昭和50年代前半をピークに減少し続け、現在では生ヤツメの出荷と栄養ドリンクなどの製造が行われています。アユは琵琶湖や宮城から移植放流して遊魚を主体に営まれています。また、古くは支流の目名川や昆布川でサケ・サクラマスの親魚が捕獲されていましたが、発電所の取水堰が設置されてからは捕獲が困難になったため、サケ・サクラマスとも資源保護水面に指定されている目名川下流にある、さけ・ます資源管理センター渡島支所尻別事業所で捕獲・ふ化・放流されました。

川利用のルールづくり

尻別川では、ラフティングやカヌーなど新しい形態のレジャーが増えてきました。新しい価値観を持った人々が川を訪れるようになって、川の利用に関していろいろなトラブルも聞かれるようになります。そこで、私たちが川と付き合うときに守るべきルールを作ってはどうかという声が地域のNPOなどから沸きあがり、川にかかわる様々な立場や利害、考え方の人々の間でシンポジウムなど様々な議論を積み重ね、2000年には「しりべつ川の約束」そしてさらに2003年には「みんなでつくろう川のルール」と題するとりまとめを行いました。これらはNPOが中心になって進めたものですが、このルールにいっそうの実効性を持たせるため、2006年には流域6町村が結束して「尻別川統一条例」を制定しました。

尻別川統一条例

尻別川流域の環境保全を目的として、流域の7つの町村が連携協力して「尻別川連絡協議会」を運営しています。この協議会で、平成12年から約5年間にわたり、尻別川を中心とした河川環境保全のための統一した条例案の策定を進めてきました。倶知安町を除く6町村では2 006年3月に条例案を議会に提案、4月から施行しています。倶知安町では同年7月に議会で可決しました。(『流域連携・流域自治の、いまとこれから-活動10年の軌跡-』しりべつリバーネットより)

日時: 2007年10月25日 09:08