動物

獣類

羊蹄山麓はかつて鬱蒼とした原生林に覆われていましたが、開発の進んだ現在、平地部は農業に利用されているために低地の自然林は意外と残されていません。そのため野生動物たちの生息場所は、山が中心となっています。現在、生息しているとされる野生動物は、ヒグマ、エゾリス、エゾシマリス、キタキツネ、エゾタヌキ、エゾクロテン、エゾユキウサギ、エゾヤチネズミ、エゾアカネズミ、エゾトガリネズミ、イタチ、ホンドテン、イイズナ、エゾモモンガ、コウモリ、ミンク、キテン、オコジョ(エゾイタチ)、他にネズミ類、トガリネズミ類、トカゲ類、カナヘビ類、ヘビ類などです。エゾシカは過去に生息していましたが、明治期の全道的に生息数が激減した時から見られなくなりました。ミンクやイタチは本来この地にはいなかった動物で、人の手によって持ち込まれた外来種です。

羊蹄山麓にヒグマはいないという話も聞かれますが、かつてはかなりの出没がありました。開発とともにヒグマの行動圏が山奥へと後退したことに間違いはありませんが、他の場所には全く出没しないということではありませんので、山や森へ入るときには注意が必要です。ヒグマは本来臆病で、植物や魚などを食べる雑食性の動物で、特別な理由がなければ人を襲うことはありません。小熊を守ろうとする場合、水場や食べ物を奪われると感じたとき、突然の遭遇で驚いたときなどが危険です。鈴や声を出すなどして人間の存在を知らせること、出会ってしまったときには静かに少しずつその場を離れるようにしましょう。


豊かな森の多い羊蹄山周辺ですが、冬の寒さと豪雪のためか、春に訪れて繁殖し夏から秋には去ってしまう夏鳥と、春と秋の渡りの時期に通過する旅鳥が多く見られます。観察される鳥の種類としては、ウグイス、モズ、キジバト、オシドリ、アオバト、ツツドリ、ノビタキ、オオルリ、コルリ、カッコウなどが夏鳥として見られ、カイツブリ、シノリガモ、カワカイサ、トモエガモなどのカモ類が冬鳥として多く見られます。その他にも、近年では観察することが少なく珍しい鳥となったものとして、クマゲラ、アカショウビン、カワセミ、ヤマセミなどが生息しています。


昆虫

羊蹄山の山頂付近のガレ場にはダイセツオサムシが生息しています。ダイセツオサムシはここと大雪山の山頂付近のみに隔離されて分布している昆虫で氷河期の生き残りと言われています。かつて氷河期には北海道全体が高山の山頂のような気候で、広く分布していたダイセツオサムシが、気温の上昇とともに羊蹄山と大雪山の頂上へと避難していったと考えられています。このほか、ダイセツモリヒラタゴミムシ、ダイセツマルトゲムシ、アラコガネコメツキ、チビヒサゴコメツキ、フトミズギワコメツキ、キソヤマゾウムシなどの甲虫類、タカナハマキ、タカネナガバヒメハマキ、ミヤマヤナギヒメハマキ、ソウンクロオビナミシャク、アルプスヤガ、アルプスギンウワバなどの蛾のほか、数多くの昆虫が生息しており、これらは大雪山や道内の高山帯にも生息する昆虫たちです。

羊蹄山は独立峰で、麓から山頂までがいくつかの植生に分類されますが、ある標高の特定の環境にのみ生息する昆虫が少なくなく、近縁な種でも低地と高地ですみ分けていることも多いようです。麓付近に広がる広大な原生林は様々な植物が見られ、数多くの昆虫が生息していると考えられますが、未だ完全なことはわかっておらず、まだまだ未知の山ともいえます。一方でニセコ連峰は、数々の高層湿原や湖沼があり、多くの水生昆虫が生息しています。トンボ類ではアオイトトンボ、オオルリボシヤンマ、カオジロトンボ、アキアカネなどが確認されています。カオジロトンボは道内での南限として記録されています。ニセコ山系はササの単純な植生が広がっているところも多く、昆虫類も数が少ないのではないかとも考えられますが、羊蹄山同様にまだまだ未知の部分が多く、今後、様々な種の昆虫が発見されていくと思われます。


自然と共生する生き方

羊蹄山麓は自然豊かな地域ではありますが、開拓以前と比べると、多くの自然が破壊され生態系が大きく変化してきています。自然こそがこの地域の大きな魅力であり、重要な資源であるということを改めて肝に銘じるとともに、自然を壊すことなく共生できるライフスタイルを心掛けなければいけません。

北海道開拓以前、長い間この地を生活の場としてきたアイヌ民族の自然観は非常に参考になるものです。彼らの自然観では、動植物や川や大地にも、自然の全てに神がいると考えられてきました。例えば地面には地面の神様がいるのだから、熱いお湯を地面に捨ててはいけないとか、水には大切な神様がいるので、水洗トイレで用を足すようなことはできないといった価値観を持っていたのです。また自然の恵みを受け取るにも、川からサケを獲るとき他の生き物たちが食べる分を残しておくなど、人間中心ではない考え方を持っていました。実は元来、私たち日本人も八百万の神といって、アイヌ民族と同様の自然観を持っていたということを忘れてはなりません。

さて、私たちにとって自然が神様のように敬うべき存在であるということを前提とすれば、自ずと目指すべきライフスタイルのあり方が見えてくるのではないでしょうか。

例えば農業。効率的に作物を作るために使われる農薬や化学肥料が、周囲の森や川や土壌に対して、そこに暮らす生き物に対してどのような影響を与えるのかを、まずは深く考えてみましょう。あなたの家に神棚や仏壇があったとして、その神様や仏様に同じ扱いをするでしょうか。

あるいは、一般家庭から出るゴミや排水のこと。それがどのような形で、どこへ行くのかを想像してみましょう。その行く先がもしあなたの大切な人の住む町だったとしたら、どう思いますか。

自分が日常生活で当たり前にしている行動のひとつひとつについて、それが自然へ与える影響を考えてみることが大切です。その時「みんながやっているから」「今までそうしてきたから」という固定観念は捨てることが必要かもしれません。

そして、どのようにしたら影響を小さくできるのかを学び、そして実践しましょう。

日時: 2007年10月25日 09:10